このページでは、死が、それもとくに暴力的な死が、西洋においていかに描かれてきたのかを、中世から近代のあいだに成立した数多くの図像資料をもとに、俯瞰していきたいと思います。
西洋の美術館を訪れて、または西洋美術の画集を繙いていて、私たち日本人がまっさきに感じる違和感があります。それは、血みどろの絵がなんて多いんだろう、ということです。具体的に言えば、殉教図、拷問図、処刑図の存在です。
そうした死のイメージの代表的な作例を渉猟しながら、それが描かれた歴史的、宗教的、社会的な背景や、深層心理的動機についても、言及できればと思います。
*アルブレヒト・デューラー《一万人のキリスト者の殉教》
*ヨーハン・テオドール・デ・ブレイ&ヨーハン・イスラエル・デ・ブレイ
*ペーテル・パウル・リュベンス《縛られたプロメテウス》
*ジャック・カロ《処刑》
*カルロ・コッポラ《1656年ナポリのペスト流行図》
*テオドール・ジェリコー 刑死人の屍体断片
*ゴヤ・イ・ルシエンテス《わが子を喰らうサトゥルヌス》
*エドゥアール・マネ《皇帝マクシミリアンの処刑》