17世紀(バロック) Erotic Art in the 17th Century

 

 17世紀になると、性愛を描くうえで、古代神話や聖書のなかのどの主題を用いるかが、ほぼパターン化するようになります。悪徳を戒めるためといった、道徳的なお説教のスタンスも、よく使われるようになりました。

 そのいっぽうで、そうした建前によらない、よりリアルなセックスのイメージを描く試みも現われます。その最初期の作例として、オランダのバロック絵画の巨匠レンブラントの描いた一連の性交図を挙げることができます。ただし、これらはあくまでもプライベートな習作として描かれたものです。

 また、いち早く市民社会を達成したオランダでは、宗教的にも政治的にも寛容であったお国柄を反映し、名もない風俗画家たちによって好色版画が盛んに地下出版されました。

 そのなかには、かなりきわどいポルノグラフィックなイメージも散見されます。なかでも目を引くのが、カトリック僧の好色ぶりを描いた諷刺画です。これには、当時、新教国オランダが宗教的にも政治的にもカトリック勢力と激しく争っていたという事情があります。

 

 

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