ローランドソン、トマス Rowlandson, Thomas 1756~1827

 イギリスの水彩画家、カリカチュア画家。

 パリのアカデミー・ロワイヤル、創立したてのロンドンのロイヤル・アカデミー・スクールズに学ぶ。作品は素描だけでも四千点を超え(その約四分の一が銅版画に複製された)、画題は当時の社会風俗のあらゆる事象に及んでいる。美術史上は、18世紀の艶情版画と、ドーミエやコンスタンタン・ギースらの写実的な社会時評との橋渡しをした人物に位置づけられる。

 無類の遊び人であったローランドソンは、かなりの数のエロティック画を残している。1906年ウィーンのシュテルン書店は『トマス・ローランドソンの50のエロティック滑稽画』を出版、そののち同書からさまざまな複製本が流布した。今日もっとも日の目を見ているローランドソンの艶笑画は、この本に由来する50点である。

 それらは先達ホガースのように説教臭くなく、同時代のギルレイのように政治的でも辛辣でもない。なんといっても陽気な笑いとユーモアに溢れている。また、若い娘の裸身に好色な老人らが熱い視線を投げかけるといった構図がしばしば見受けられ、覗き見趣味も顕著にうかがえる。 

 

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