エロティック画集『エロ・グロ』(Erotische Grotesken)の作者。生没年をはじめいっさい不詳。ただし、ピピーファクスというのはまず間違いなく筆名である。真の作者はドイツ印象派の画家マックス・リーバーマン(一八四七~一九三五)とする説があるが、真偽のほどは定かでない。
『エロ・グロ』は両大戦間に地下出版された。刊記の記載はないが、おそらく一九二〇年頃ベルリンで出版されたものと思われる。水彩で彩色された十二点のエッチングが収められている。内容は男根を中心に織りなされるグロテスクでコミカルな好色画であり、女性嫌悪やフェティッシュな幻想がうかがえる。